真夏のオーストラリア、満月から数日後の夜。グレートバリアリーフの海中には大量の雪が舞う。
広大なサンゴ礁から、無数の卵と精子が放出されるのだ。これらが水面まで浮かび、受精卵となり、やがて幼生が生まれる。近くの海底に着生するものもあれば、流れに乗って遠くまで運ばれるものもある。
サンゴはこのようにして一斉に産卵する。しかし、海水温の上昇によって、この集団繁殖が難しくなっている。それを示す新たな論文が、4月3日付けで学術誌「ネイチャー」に発表された。
グレートバリアリーフでは、2016年と2017年に発生した大規模なサンゴの白化現象の影響で、2018年の一斉産卵後に収集された幼生の数が、従来に比べて89%も減少したという。サンゴが完全に回復するのに5〜10年はかかると、研究者は推定している。
大量白化現象が起こると、サンゴ礁はなかなか回復しないことを今回の論文は示している。また、サンゴの種類によって幼生の数の減り方が異なるため、気候変動によってサンゴ礁の構成が劇的に変わる可能性がある。
■幼生収集パネルを1000枚
大量の卵や精子を水中に放出して繁殖するサンゴは「放卵放精型」と呼ばれる。グレートバリアリーフに生息するサンゴの大半の種はこのタイプだ。一方、幼生になってから放出するタイプは「幼生保育型」と呼ばれ、放出された幼生は近くに着生する。
どの種の成体サンゴが最も影響を受けたかを明らかにするため、研究チームは水中でサンゴの形状や分布を測定した。また、幼生を集めるためのパネルを、一斉産卵後の数日間、グレートバリアリーフのあちこちに設置した。
「1000枚ものパネルを設置しました」と論文の筆頭著者でオーストラリア、ジェームズクック大学のサンゴ礁研究者テリー・ヒューズ氏は話す。「北の端から南の端まで、2900キロにも及びました」
以前の調査では、各パネルに50〜100個の幼生が付いていた。「しかし、今回の調査では、0個か1個しかついていないパネルが最も多かったのです」と同氏は言う。
■回復する時間がない
水温が上昇したり海水が汚れたりすると、サンゴは、内部に共生する褐虫藻を追い出す。褐虫藻は、光合成によって栄養を生産し、サンゴのポリプに供給している。水温が高いままだったり水質が悪いままだったりすると、褐虫藻はサンゴに戻らず、サンゴは栄養が足りなくなって死に至る。海水温がすでに高くなっているところにエルニーニョなどの気象現象が加わると、サンゴにとって危機的な状況にもなりうる。
サンゴの白化現象は、1980年代初頭に初めて記録された。グレートバリアリーフでは、これまで4回の大規模白化現象が起こり、サンゴ礁が広範囲で壊滅した。最初は1998年で、2回目は2002年に起きた。だが2002年から2016年までは、サンゴは白化現象によるダメージから回復することができた。
「2回目と3回目の間が、14年も空いたことは幸運でした」とヒューズ氏は言う。「しかし残念ながら、2016年以降は立て続けに起きています」
2016年、2017年と相次いだ白化現象により、グレートバリアリーフは壊滅的な被害を受けた。そのうえ、2018年1月5日付けで学術誌「サイエンス」に発表された同氏の論文では、極端な水温上昇が起きる間隔が短くなっていることが示唆されている。
「まるで、2〜3年ごとに大病を患うようなものです。あまりに間隔が短く、回復する時間もありません」。2018年の論文の共著者である海洋生物学者ジュリア・バウム氏は当時、ナショナル ジオグラフィックにそう語った。
続きはソースで
ナショナルジオグラフィック日本版サイト
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/19/040500207/
5億年生き残り続けた珊瑚を舐めるなよ
これだよね。
日本でも生息域が北上してるのが証拠。
残念ながら沖縄以北じゃ潮の満ち引きでも生息出来うる浅瀬がないんだよなぁ
また変わりの強いやつが出るでしょ
人間よりも長い期間繁栄してる珊瑚がそんなに脆いとは思えん。
どこか住みやすい場所見つけて繁殖始めてるんじゃないの?
温水に適応したサンゴが増えてくるんじゃねの
妙に語呂が良いな