アリは細菌や真菌類に対する強力な殺菌剤を自ら生成しているとの研究論文がこのほど発表された。
研究は、働き者の昆虫であるアリを人間のための製薬工場として利用可能かを調べる目的で行われた。
アリの持つ優れた「製薬能力」に関する今回の発見は、
人類が過去100年間に開発した有効な抗生物質の持ち札が細菌類の耐性強化に直面して徐々に少なくなっている中で発表された。
英国王立協会(Royal Society)のオンライン科学誌
「ロイヤルソサエティー・オープンサイエンス(Royal Society Open Science)」に掲載された論文によると、
アリ20種を用いた実験では、12種から抗菌性物質が見つかったという。
論文の共同執筆者で、米アリゾナ州立大学(Arizona State University)のクリント・ペニック(Clint Penick)氏は、
AFPの取材に「新しい抗菌性化合物を探す上で、アリがその調査対象に適していることが今回示された」と語った。
アリは体にある特殊な分泌腺で抗菌性化合物を生成する。
この分泌腺をめぐっては、アリの「化学工場」とも呼ばれている。
「アリはこの腺の分泌物で体の表面を覆っており、
中には人が部屋の中で殺菌洗浄剤を利用するのと同じように抗菌性物質を巣の周囲にまくアリもいる」とペニック氏は説明する。
研究チームは、アリが作り出した化学物質を表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)で試験した。
人の皮膚表面の常在菌である表皮ブドウ球菌は、通常は無害な細菌だ。
異なる種のアリが生成した化合物には細菌を殺傷する有効性に差があることも分かった。
今回見つかった化学物質で、人の病気を引き起こす細菌を対象とした試験はまだ行われていない。
「これまでに記録されているアリの種数は1万5000種以上に上り、
それぞれが抗菌作用を持つであろう多種多様な化合物を生成する可能性が高いことを指摘しておくことは重要だ」と、
ペニック氏は話す。
■アリを「ゾンビ」に変える細菌も
ペニック氏は「今回の研究はどのアリの系統が人間の病気に対して
有効な抗生物質を生成する可能性が最も高いかを特定する最初の一歩となるものだが、
抗生物質として機能する化学物質を同定し、それらを合成する方法を開発するためには、
さらに研究を重ねる必要がある」ことを指摘している。
またペニック氏によると、
昆虫の大規模で緊密な社会集団は病気の温床として理想的な環境であるため、
新たな抗生物質の有望な供給源となると長い間考えられてきたが、
これまでのところ実際に調査が行われた事例はほとんどないという。
アリは自身が生成する化学物質の防御を多数の侵入菌に対して用いるが、
この中には感染したアリを「ゾンビ」に変える細菌数種と真菌1種も含まれる。
これらの菌は中枢神経系に作用する化学物質を放出し、ゾンビ化したアリの体を乗っ取り、
最終的には宿主のアリを殺してしまう。
ここで重要な疑問が生じる。
人が開発した薬剤の多くはほんの数十年で効力を失うが、アリを攻撃する病原菌には、
おそらく何百万年も前からアリが使用し続けてきたと考えられる抗菌性物質への耐性が生じていないのはなぜかという点だ。
さらに、今回の研究の重要な成果の一つは、抗菌性物質を作らないアリ8種に関するものだ。
この8種は、少なくとも今回試験した細菌に対して有効性を示す物質を何も生成しない。
抗菌性物質を作らないアリ種が存在するなら、
それはこれらのアリが病気から自らの身を守るための別の方法を見つけた可能性があることを意味する。
抗生物質に過剰にさらされることが原因の一つとなっている薬剤耐性の拡大について、
国連(UN)は「健康に関する国際的な緊急事態」と表現し、
今日では容易に治癒する軽い病気で人々が命を落とすような未来を招く恐れがあるとしている。(c)AFP
AFP
http://www.afpbb.com/articles/-/3162208
やがて、あらゆる昆虫の表皮を総当たり検索するようになるんだろうな。
ヒトの作った巣箱、無菌の砂に巣穴作らせて
卵や蛹を模したビーズに抗菌物資を塗りたくらせる。
ビーズを回収して抗菌物資を精製する・・・
効率悪そう。採算が合うとは思えないなぁ。
アリの巣ごと真水に掘り込み水溶液を作り濃縮する
手間ではないよ
別に菌に化学的に対抗している訳じゃない
人間には使えない手法
「ワイルドライフ」か「ダーウィンが来た!」かで、それ見たことがあるわ
蟻食おうぜ
風邪引かないということか。