カリフォルニア州では120万ヘクタール以上が焼け、オレゴン州では50万人以上が自宅からの避難を余儀なくされた。
そんな中、我々が火災と闘ううえで、心強い仲間がいることがわかった。ビーバーだ。
学術誌「Ecological Applications」に9月2日付けで発表された研究によると、ビーバーがダムや池を作り、水路を掘ることで、動植物にとっての
防火シェルターが生まれていることが判明した。場合によってはこれが森林火災の延焼を止めることさえある。
「すぐ隣で火事が起こっていても平気です」。
そう話すのは、米カリフォルニア州立大学チャンネル・アイランド校の生態水文学者で、今回の研究を率いたエミリー・フェアファックス氏だ。
「ビーバーの作ったダムがある場所は、青々として健康的なのです」
アラスカ州からメキシコ北部にかけて生息するアメリカビーバー(Castor canadensis)が、生態系に様々なメリットをもたらすことは以前から知られていた。
ビーバーが作った池や湿地は水質を改善し、サケの生育を助け、水中の炭素を隔離し、洪水を緩和する。
研究者たちはさらにもう一つ、彼らが重要な役割を果たしているのではと推測してきた。
森林火災の拡大を遅らせることだ。
「複雑な話ではありません。水は燃えない、ということです」。
米ユタ州立大学の地形学者、ジョー・ウィートン氏はそう話す。
たとえば2018年、アイダホ州で起きた森林火災「シャープス火災」で2万6000ヘクタールが黒焦げになった後、ウィートン氏は焼け野原の中に美しい緑の土地が輝くのを見つけた。
ビーバーの作った湿地が炎を生き延びたのである。しかし、これまでこうした現象を本気で調査した科学者はいなかった。
「フェアファックス氏の研究は抜群にタイミングが良いものです」とウィートン氏は評価する。同氏は今回の研究には参加していない。
「自然を基盤とした対策や自然インフラの重要性が示されており、科学的な裏付けも提供されています」
■ビーバーのおかげで炎を逃れる
フェアファックス氏と共同研究者のアンドリュー・ホイットル氏は、2000年以降に米国の5州(カリフォルニア州、コロラド州、アイダホ州、オレゴン州、ワイオミング州)で起こった
大きな森林火災を選び出し、衛星画像を用いて周辺にあったビーバーのダムや池を探した(ビーバーが作ったインフラは宇宙からも確認できるくらい見事だ)。
その後、植物の健康状態を測る統計的手法を用いて、火事の前、最中、そして後において、周囲の植生の豊かさを比較した。
健康で水分を多く含む植物は画像でも鮮やかな緑色に見え、乾燥した植物は茶色がかって見えた。
青々として水をたっぷり含んだ植物は、乾ききった植物より当然燃えづらい。ビーバーが生み出す生態系が防火に優れている理由はここにある。
分析の結果、河川が火災に見舞われた後、ビーバーがダムを作っていたエリアでは、そうでなかったエリアよりも植生が3倍以上も豊かに残ったことがわかった。
ビーバーが大変念入りに水分で満たしていたために、単純に植物に火が付かなかったのである。
このエリアはビーバー自身の命を守るだけではない。
両生類や爬虫類、鳥類、小型哺乳類に至るまで、多くの動物がビーバーの「避難所」に身を隠しているとフェアファックス氏は考えている。
セグロミユビゲラのように森林火災を必要とする生物もいるが、他の動物にとっては致命的となりうる。
ビーバーの生息地は家畜や農地を保護することにもつながるとフェアファックス氏は付け加える。
※続きはソースで
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/20/092800563/?ST=m_news
どんどんダムが増えていく
凄いよ
マジで?